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Fuzzy Drive

ファジー・ドライブ

“ARION CHORUS MOD”などで好評を博している「E.W.S.」から、画期的なFUZZ/DISTORTIONエフェクト・ペダル「Fuzzy Drive」の登場です! 「Fuzzy Drive」のGainコントロールを上げていくと、あの名機「BLACKCAT OD‐1」を彷彿とさせるような強烈なファズ・ディストーションを生み出し、可変幅の広いToneコントロールによって多彩なサウンドを演出します。そしてGainを下げ目にしてVolを上げていくと、ヴィンテージ“Tone Bender”風のファズ/ブースターとしてアンプの歪み増強にも利用できます。スイッチは、もちろんトゥルー・バイパス方式ですので、エフェクトOFF時の音痩せの心配はありません。

Spec

Size(W/D/H)
65mm X112mm X 50mm
Weight
240g
True Bypass Switching
Power Consumption
9VDC/7mA
Battery Type
9VDC(006P)x11
AC Adapter (Optional)
9VDC, Negative Tips (Regulated recommended)
定価¥15,000(税抜)
従来のファズ・ユニットは、その心臓部とも言えるトランジスタの品質が不安定なため、サウンドの個体差が大きいという難点がありました。
しかし、EWS Fuzzy Driveでは品質が安定しているオペ・アンプを使用した回路でデザインしています。評価の高いヴィンテージ・ファ ズのサウンドは、やはりヴィンテージ・パーツであるゲルマニューム・トランジスタを使用していることに価値を求める方も多いですが、Fuzzy Driveではオペ・アンプを使用しながらもヴィンテージ・ファズ特有のトーン・ニュアンスも楽しめるようにデザインされています。Fuzzy Driveは、Gainノブを調整することによって、ファズ、オーバー・ドライヴ、そしてそれらの中間的なサウンドも得られるようにデザインしています。
Musiacian's Comment - Allen Hinds
私はヴィンテージのTone Benderのファズを持っていますが、“Fuzzy Drive”は今まで聴いてきた中でそれにもっとも近いサウンドが出せるエフェクト・ペダルです。“Fuzzy Drive”には音作りの自由度もありますので、王道のファズ・サウンドの中にオーバー・ドライブ・サウンドを加えるようなことも出来ます。これはとても音楽的であると共に、面白くて使いやすいペダルです。
Musiacian's Comment - Michael Thompson
Fuzzy Drive最高です! 本当に素晴らしい!
私は、こんなペダルを探していたんです。
ダラス・ファズフェイスのように、クリーン・セッティングしたアンプで強烈に歪ますことができて、ギターのボリュームを下げるとクリーン・トーンを出すことができるペダルを。
これからはスタジオ・ワーク、ライヴ問わず、私のエフェクト・ボードの中にはFuzzy Driveを常に並べておくことになりそうです。
Allen Hinds
Gannin Arnold
Review of Fuzzy Drive


Premier Guitar 2009年6月号

EWS Fuzzy Drive FD-1 ペダル レビュー
アート・バイロン著

Fuzzy DriveはFUZZを超えた多彩なエフェクト・ボックス

「E.W.S. FD-1 Fuzzy Drive」の様なファズ・タイプのエフェクターの批評をする時、何に焦点を当てるかを決めることが大切だ。ヴィンテージのファズ・サウンドを、どれだけ忠実に再現しているかに焦点を当てるか? あるいはサウンドの太さや、ピッキング・ニュアンスの表現性、エフェクターとしての柔軟性などに焦点を当てるか?
この批評を書くにあたり、E.W.S.というメーカーに興味を持たずにはいられなかった。エフェクター市場に新たに加わったE.W.S.は、ブティック・エフェクターとして知名度のあるエキゾティック(Xotic)の姉妹ブランドである。この事実だけで、既に大きな期待感を持たせてくれる。XoticとE.W.S.は、米国カリフォルニア州サンフェルナンドにあるプロサウンド・コミュニケーションズ (PCI)のブランドである。

FD-1 Fuzzy Driveは、E.W.S. (Engineering Work Store)がプロデュースしたエフェクターの第一号である。E.W.S.は、アメリカでこそまだ知名度が低いかもしれないが、日本には多くのファンが存在するブランドだ。これまでギターのリペアやモディファイ・エフェクターで実績があり、その中でもArion Chorusのモディファイ・エフェクター(製品名「Arion Chorus Mod.」)は、アメリカでも愛用者が多い製品だ。
エフェクター分野以外には、日本の市場に向けたチューブ・ギター・アンプ(製品名「Mini-HG Amp」)も発売している。日本におけるE.W.S.は、その製品とサービスに対してXoticと同様に「ブティック」のブランドのイメージを持たれている。

"ファズ"と聞いて、まず頭に浮かぶのはアメリカの古いTV番組"Green Acres"のテーマ曲、あるいはRolling Stoneの名曲"Satisfaction"だ。これらで聴かれるファズ・サウンドは、かすれ気味で荒々しいもので、多くのプレーヤーにとっては好き嫌いがはっきりと分かれるだろう。サウンドとしての善し悪しを決めつけている訳ではない。ただ、「ファズ」と名の付く物に対して求められる、伝統的なファズ・エフェクターのサウンドとは、いかに特徴的で固定観念を持たれているものであるかを、はっきりとしておきたいのである。しかし、そうしたイメージとは裏腹に、「E.W.S. Fuzzy Drive」にギターを挿した時には驚かされた。暖かいオーバー・ドライブから電気ノコギリのような強烈な歪みまで、サウンドが幅広いのだ。「Electro-Harmonix Big Muff」や「Dallas Arbiter Fuzz Face」のような、「一芸しかない箱」を予想していたからだ。「E.W.S. Fuzzy Drive」は、明らかにそれ以上の性能を持ったエフェクターだ。

FD-1には3つのコントロール・ノブがあるが、サウンドの設定は簡単だ。右上にあるGainコントロールは、入力されたギターの信号をどれだけハードにクリップさせるかを決めるものだ。時計回りに回すほど、歪がっ強くなっていく。ちょうど、中間位のポジション(12時位の位置)で、チューブ・アンプをフル・ドライブさせたようなオーバー・ドライブ・サウンドが得られる。暖かく、ダイナミックなピッキングをしたくなるようなサウンドだ。控えめの設定(11時以下)の場合、ピッキング・ニュアンスをうまく表現してくれる。ギターのボリュームが最大でもソフトなタッチでピックアップすれば、信号がクリップする寸前に抑えてくれる。そしてハードなピッキングならば、"旨み"のあるオーバー・ドライブ・サウンドとなる。Gainコントロールを最大にすれば、やや滑らかな印象ではあるが"Green Acres"のテーマ曲の様な、伝統的なファズ・サウンドを生み出すことができる。

FD-1のGainコントロールでは全体的な音質を創り出したが、Toneコントロールでは「エッジ」を与えてくれる。クリップさせたギターの音声信号の波形を、効果的な"方形波"にすることができるといった感じで、それによってブライトで荒削りなハーモニクスが得られる。Toneコントロールを使いこなすことで、"唸り"を残しながらもサウンドに艶感を足すことも、あるいは"唸り"をなくして滑らかでピュアなシンセサイザー風サウンドを出すこともできる。このようにサウンド・レンジが広いのもFD-1の特徴である。なお、私はトーン・コントロールを中間(12時位の位置)から全開の設定が好みだった。

FD-1のVolumeコントロールは、アンプに送り出す信号の大きさを設定する。アンプにどれだけハードに信号を送るかを実験するのは楽しかった。今回のサウンド・チェックには「 Line 6 Spider Valve 112」 チューブ・アンプを利用した。これはデジタル・エフェクトとアンプ・モデリング回路と、クラシックな真空管増幅回路とを合体させたハイブリッド・アンプである。今回の実験では、アンプは最もクリーンな設定で行った。アンプのモデリング機能を使わずとも、「E.W.S. Fuzzy Drive」だけで、プリ・アンプを十分にハードに信号を送ることができた。 FD-1の控えめなGain、控えめなVolume(2時位の位置)の設定で、Line 6の真空管をドライブさせるのには十分だった。

FD-1は戦車のような頑丈な造りである。アルミニウム・ダイキャスト製のボックスはクリア・コーティングされ、黒いレトロ・スタイルのグラフィックと白の文字がシルク・スクリーン印刷されている。3つのベークライト製のノブは、しっかりとポットにネジ止めされている。電源は9V電池、あるいは外付けのアダプター(センター・マイナス9VDC)を使用する。 FD-1はトゥルー・バイパス・スイッチであるので、仮に電池が消耗していたりした時でもOFF時にはギター・サウンドに影響を受けないので安心だ。しかし、アンプの音量が大きい時には、エフェクターをONにした時にスイッチのクリック音が聞き取れた。

FD-1内部には、シンプルな基盤があり、そこには14個の抵抗、13個のコンデンサ、1個のダイオード、そして2個のICが配置されている。基盤と3個のポット間にはクッションが挟まれ、基盤は十分に保護されている。なお、伝統的なファズ・エフェクターのようにゲルマニューム・トランジスタは採用していないので、その点を気にかける人もいるかもしれない。(ゲルマニューム・トランジスタを望むならヴィンテージ・エフェクターを探すか、少量生産されている高額なファズ・エフェクターを手に入れるしかない。)

(page2)

FD-1のポットは、その回転動作に適度なトルクのある良質感を持っていることからも、このエフェクターはツアーなども問題としない耐久性があることがすぐに分かる。また、トーン・コントロールのポットにはセンター・クリックがあるのも、親切な設計だ。

FD-1は、すでにファズ・エフェクターとして評価を得ているが、それは"Angelina Jolie"を「ララ・クラフト役が上手」と表現するようなものだ。FD-1は、どちらかというとディストーションのカテゴリーに近く、クランチ・サウンドから極限のへヴィー・メタル・サウンドまで、幅広いトーンを得ることができるのである。事実、サウンド・チェックの際に試した様々な設定では「ファズ」というよりは「ドライブ」に近く、その点が批評家として感激せずにはいられない。もし、オールマイティーに使えるオーバー・ドライブ・エフェクターを一つ選べと言われたら、私は「E.W.S. Fuzzy Drive FD-1」を間違いなく有力候補に上げるだろう。

だが、FD-1の弱点を挙げるとすれば、皮肉にもそこにあるだろう。それは、ゲルマニューム・トランジスタを使用したファズ・エフェクター特有の「スピーカーを刃物で切り刻んだような」、あるいは「アイスピックのように鋭い電気ノコギリ」サウンドといった、いかにも60年代中頃の伝統的ファズ・サウンドを出せなかったことだ。確かに近いサウンドは得ることができる。しかし、暖かいピッキング・ニュアンスが残っているのだ。だが、それは私自身、仕事で頼まれないかぎり出すことなどないサウンドであり、惜しむことではない。

「E.W.S. Fuzzy Drive FD-1」は、良質な造りでブティック・トーンを提供してくれる。しかしながら定価はリーズナブルな設定である。また、興味深いのは、E.W.S.の姉妹ブランドであるXoticではファズ・エフェクターを発表していない点である。E.W.S.ブランドで市場にファズ・エフェクターを投入することで、 Xoticエフェクターに影響を与えることなく、ニッチな分野に入り込むことができたわけだ。ビンテージ・エフェクターとして有名な「Tone Bender」サウンドを求める者の多くがFD-1を試すことになるだろうが、Tone Benderよりも柔軟で、暖かみのサウンドであることに気付くだろう。そして、彼らが私と同じような感動を覚えたとすれば、FD-1は間違いなく彼らの創造力をかき立てるはずだ。「E.W.S.が次発表するエフェクターは何だろう」と。楽しみである。

購入するべし…
創造力にオーバー・ドライブをかけてくれるような、ディストーション・ツール・ボックスを求めているなら

購入する必要なし…
"Green Acres"の劇場公開版のサウンドトラックを手がけるなら
(古いTone Benderで十分だろう)

評価…
4.5/5